極楽せきゅあブログ

ときどきセキュリティ

いろいろな告知

今年度もセキュリティ・キャンプ全国大会でプロデューサーとしてバラエティトラックの企画をやってます。あと共通科目の「セキュリティ基礎」と選択科目の「CTF問題作成講座」を担当します。正式な募集開始はもうすぐなのでStay tunedでおなしゃす。 #seccamp #spcamp

NICTのSecHack365の方はもう募集を開始しています。課題フォームの申し込み締め切りが16日(火)17時JST。課題フォームの提出締め切りが19日(金)17時JST。ばしばし応募してくだされ。 #SecHack365

sechack365.nict.go.jpSECCONも2019年度の年間スケジュールを公開しました。 #SECCON

2018.seccon.jp

ぶっちゃけこんだけ重なってると裏の動きは大変なのだーあはははははヽ(´ー`)ノ

CanSecWest

普通に使われているソフトウエア、システム、OSの脆弱性をガチで探すので有名なPWN2OWNをやってるCanSecWestに初参加。昨年PacSecにも(実は)初参加しましたが、ご本家のCanSecWestは規模もずっと大きく、三日間ものすごく充実したコンテンツを展開していました。今年も華々しい成果を上げたPWN2OWNについては他の記事に譲りますが、講演も、何て言うか攻撃対象が広がったというか、幅広い感じのバリエーションがあって勉強になることも多かったですね。
例によってタイトルを列挙してみましょう。

Day1:

  • InfoSec Frameworks for Misinformation - Sala-Jayne Terp. Bodacea Light Insudtries
  • Attacking .NET through CLR - Zing Shikang
  • vs com.apple.security.sandbox - Patroklos Argyroudis, CENESUS S.A.
  • PAC-Man and Ghosts: A practice and breakthrough of Pointer Authentication on iOS - Xiaolong Bai, Min [Spark] Zheng, and Hunter Qu, Alibaba Inc.
  • Karta - a source code assisted binary matching plugin for IDA - Eyal Itkin, Checkpoint Research
  • Tales from the Bug Mine: Highlights from the 2018 Android Security Bulletin - Lilian young, Google

Day2:

  • Hacking Microcontroller Firmware Through USB - Boris Larin, Kaspersky
  • ZigWasp: Discovery of Secret ZigBee Firmware to Accelerate Analysis - KunZhe Chai and Jie Fu, 360UnicornTeam
  • Pandora, Cassandra and Aristotle: An ancient Greek Perspective on Hardware Trojans - Joeseph FitzPatrick
  • Adversarial Examples: Using AI Cheat Ai - Menayun Tang, Tencent Labs
  • Weponized WPA2 Wifi - Jiaheng Wang and Jun Xie, Alibaba Inc.
  • Attack Infrastruatuce for the Modern Red-Team - Topher Timzen and Michael Leibowitz
  • IR-dventures fron the vendors basements, Circa early 2000s - Luiz Eduardo, Aruba Threat Labs

Day3:

  • Dangers of Using Fully Homomorphic Encryption, a loog at Microsoft SEAL - Zhiniang Peng and Minrui Yan, Qihoo 360
  • Memsad: Why Cleaning Secrets is Hard - Ilja Van Sprundel, IOActive
  • The Dwelling Place of Zero Days (Windows 10 RS4) - Boris Larin and Anton Ivanov, kaspersky
  • Device Driver Debauchery and MSR Madness - Ryan Warns, FireEye FLARE Offensive Task Forcem and Tim Harrison, Independent Security Researcher
  • Dive into Windows Hello: Is it really more secure than a password? - Hyoung-Kee Choi and Ejin kim, HIT Lab, Sungkyunkwan university
  • From SSRF to RCE (and Windows Credentials) - Yonglao Wang and Yang Zhang, Qihoo 360

https://cansecwest.com/agenda.htmlご本家もアジェンダが最新状態になっていたのでリンク。開催当日は最新状態じゃなかったんですよねw。

cansecwest.com全体としてあっしの興味を惹くテーマが多かったし、総花的総括よりは掘り下げる系が好きなんですがそういう講演が多くて楽しめたんですが、一つだけ不満なのはAI系列の話ですかねー。これはCanSecに限ったことでは無いんですが、学術系ではないところのAI系の発表って学術系での議論の周回遅れ的なものが多く、その点は学術系の方がおもしろいものが多い感じ。逆説的ですが、もしかしたらそれは学術の研究成果が実装として活かされてないということかなと思ったりしてます。わたしたちの研究グループでも実は数理モデルに基づいてWAFを作ったりしていますが、ご要望はあるもののまだきちんと公開・宣伝できていませんしね。そもそもコードが使える形になっていない研究とかも多いし。研究者とコード、github的なものとかとの断絶なんですかねーなんかそこが勿体ない気がします。
それはそれとして、CanSecWestそのものはすごく楽しかったし勉強になるところも多かったので(すごく大規模なのに運営や進行がめっちゃ手作りなところとかw)、クロージングで「また秋にPacSecやるから、AVTokyoもCODEBLUEもあるしみんなトーキョー行こうぜ!」と宣伝してくれてとてもありがたかったです。来年もまた行きたいなぁ。

OffensiveCon

ベルリンで開催されたOffensive Security Conference(https://www.offensivecon.org/)に参加してきました。このカンファレンスは2018年から始まり、スポンサーも派手に募らず小規模にテッキーなことを追求するカンファレンスです(参加者450人程度とのことで、確かにそれほど大きく無いメイン会場とサテライトしかありません)。その名の通り攻撃をテーマとし、さまざまな手法やアイディアを披露し合う場になっています。

https://www.offensivecon.org/speakers/

講演タイトルを並べてみましたが、これを眺めるだけでもその「攻撃性」が垣間見えるのではないでしょうか。

  • OSX XPC Revisited - 3rd Party Application Flaws
  • Glitch in the Matrix: Exploiting Bitcoin Hardware Wallets
  • Reverse Engineering of Error-Correcting Codes
  • Attacking Edge through the JavaScript Just-In-Time compiler
  • Bypass Windows Exploit Guard ASR
  • Growing Hypervisor 0day with Hyperseed
  • Coverage-guided USB fuzzing with syzkaller
  • 3D Accelerated Exploitation
  • Attacking Hardware Root of Trust from UEFI Firmware
  • macOS: How to gain root with CVE-2018-4193 in < 10s
  • Updated analysis of PatchGuard on Windows RS4: Is the mouse finally caught?
  • Attack surface of a connected vehicle
  • Bugs so nice they patched them twice! A (continuing?) story about failed patches
  • iOS dual booting demystified
  • IPC you outside the sandbox: One bug to rule the Chrome broker
  • Modern Source Fuzzing
  • FuzzIL: Guided Fuzzing for JavaScript Engines
  • Reversing without Reversing

このラインナップは楽しいとしか言い様がありません(笑)。香港VXのアンソニーは「ブラックハットよりおもしろい」って言ってましたが、その意見には完全に同意です(もっとも、わたし自身はブラックハットは通してちゃんと見たこと無いんですが(笑))。どこかテッキーすぎないようにコマーシャルに寄ってる印象がある近年のBlackHatより、突き抜けていておもしろい。さらに言うとDEF CONよりクオリティが揃っていて高い。各講演の前提知識もかなりハードコアで、知らないと楽しめないという側面はあるものの、だからこそ楽しいわけです。さすがにトレーニングまでは受講し得なかったんですがそちらも含めて魅力的なプログラムです。
以前ファジングの本を監訳したこともあり注目していたのですが、ファジングの活用が拡がっているのが興味深いところでした。ファジングの効率化、というアンビバレントなテーマの研究が最近目立っていますが(実はSecHack365でも二年続けてAmelican Fuzzy Lopの改良テーマが出ています(成果ポスターはこちらで見ることができます>https://sechack365.nict.go.jp/))、このカンファレンスでは研究的なアプローチというよりも実装面での応用、活用のアイディアが提示されていました。研究の成果によってドラスティックに効率化が図れたらそれはそれでとても良いことなんですが、コンピューターの性能向上っぷりにベットしつつ、ミニマムな活用で効果を上げるというのも併せ、両面の改良アプローチが必要だと感じさせられました。この分野は引き続き注目していきたいと思っています。

二つの取材の違い


NHKの衝撃的な「無差別侵入」「プライバシーの侵害」というスーパーネガティブパワーワードな報道からの高橋睦美さんの記事。なんでこんなに差がついてしまうのかなぁ。

政府のIoT機器調査、無差別の「力業」に踏み切った背景は (1/4) - ITmedia NEWS


前例が無いことを国が大胆にやろうとすると、それこそあらゆる批判が巻き起こるのは仕方がないと思うんだけどねー。東洋経済の良い政策を褒めるって記事が好きだったんだけど、短期ですぐ終わっちゃった感。他媒体とかに同じようなの出て来るかというと全然無いし。

地味だけどいい政策を探しにいこう | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準


いや、褒めろって強制するとかじゃなくてですね(笑)、なぜそういう差になったのかってことですね。
やっぱあれだな、危機意識が共有できていなかったことが大きいのかなー。つまり、高橋さんの記事にある「なぜそんな力業に踏み切ることになったのか」って部分ですね。IDはよくあるものだけどパスワードがかかっている、という状態で出荷されるIoTなブツは、そのパスワードは一台一台別なものが設定されるのではなく、何百台何千台も同じパスワードが設定される、ということ。さらにそのパスワードは、紙に印刷されたマニュアル、メーカーのWebサイトに行けばPDF形式でダウンロードできる電子データのマニュアルにそのまんまの文字列が記載されていたりする。なので、あまりに公知すぎて不正アクセス禁止法が定義する「識別符号」ですらない(笑)「パスワード」なんだけど、そういう状態のものをあぶり出して「ヤバいですよーあっという間にやられちゃいますよー」というのをプロバイダー(ISP)さんたちにご報告。プロバイダーさんたちはその機器の持ち主に連絡して、パスワード変更等を働きかける、というのがこのNOTICEって事業なんだよね。んで、IDとパスワードを入力し、ログインできてしまうかどうかしか試さない。マニュアルに記載されているIDとパスワードをそのままにしているかどうか、この調査はそこにしか関心が無いし、ログインできたからといって中身を見るコマンドとかは一切叩かず、そのまま静かにログアウトするだけ。前段でポートスキャンはするけど、ザッツオールってヤツですね。
それで警告できてしまうような状態のIoTが世の中とても多いってことなんですよね。これが背景の危機意識。
この辺の理解がねー、NHKさんには足りなかったってことなんでしょうかねえ。
高橋さんの記事ではここまでを咀嚼していただいた上で、「今後NICTが公開する調査結果等の情報を注視し、その結果の対策にも注目しよう」とか「この名前を利用したさまざまな詐欺が出て来る可能性もあるので、それへの対策もお願いしたい」と書いてくれています。いやー建設的ですね。煽るだけ煽ってその姿勢を未だにあんまり変えていないNHKさんとは大きく違うよねー(笑)。「深掘り」って土曜日にやってた番組のために何度も取材に応じていろいろ助言して概念をディスプレイする模型とかの案までチェックしたのに当日出演無しとなった挙げ句クレジットすら皆無だったことなんて別に根に持って無いけど(爆笑)、もうちょっと頑張って欲しいなぁ>NHKさん

NOTICE|サイバー攻撃に悪用されるおそれのあるIoT機器の調査、注意喚起を行うプロジェクト

インターネット安全教室の思い出

JNSAのインターネット安全教室がもう最後だと聞いて思い出を語りたくなった(笑)。ま、じじいなんで許して。
初期からシナリオやプレゼンテーション資料作りに関わったり、ドラマ仕立て啓発ビデオの撮影にお邪魔してちょこっと出演したり(笑)、このイベントが無ければ行かないようなところに出張って行って旨い酒食事にありついたり、お客さんが少ないところやオープンなところ、いろんなところで開催したり。そのすべてが今の自分に凄く生きてると思いますね。
カメラを向けられても平気になったし、喋りの尺合わせみたいなのもすごくコントロールできるようになった。旅を楽しめるようにもなった。日本各地で啓発などに頑張る人たちにリーチできて、のちのセキュリティミニキャンプやらセキュリティキャンプキャラバンでもそのコネを活用させていただけたし。SECCONとかSecHack365にもいろいろ生きてる。
ぶっちゃけ商売を考えるなら関わってはいけない方のプロジェクトだと思うんだけど(笑)、それは表層的過ぎる見方で、学んだことは本当に多い。各地の現実とか、普通の方々のセキュリティへの関心とか、理解とか、そういう肌感覚も見に着けることができたと思う。
関わったみなさん、お疲れ様でした。(BGM:卒業写真(笑))

※一応追記しておくけど、JNSAが事務局をやめるだけで、インターネット安全教室事業そのものは続くそうです。

大阪で旨いモノ食いながら

SecCap(enPiT Security) ProでCTFやってきました - 極楽せきゅあブログの続き(笑)。

じっくり飲みながら議論する機会ってのは実はそうそう無いものなんだけど、出張中とかはそういう機会を作りやすい。というようなことを脳内で言い訳して大阪で旨いモノ食べながらいろんな議論をしてきました。お付き合いいただいたみなさまありがとうございます(笑)。
最近仕事でいろいろと行き詰まりを感じているorやりたい仕事で得意な仕事がはっきり見えているのにそれができない感の議論とか、仕事上のミスマッチってのはどういう組織でも起きうるんだけど、逆に得意なものに逃げて自分を拡げないという事例を最近目にしたこともあって、そういうミスマッチの可能性を低減させるにはどういう組織が良いのかなーと考えたりもしました。
あるいはまた、ネットの殺伐さやノイジーさに辟易していて、情報を得る手段としてのネットはすでに限定的に使うしかないとか、今更だけど読書熱いぜ話からの本やコンテンツのお勧め合戦とか、知的な刺激ってやっぱ書籍とかああいう完成度の高いコンテンツから得るものが大きいなーとか、話題は飛びまくりましたが、ネット云々もそうですがこういう議論の必要性こそ再認識しましたね。
この1、2年、本を読んだり文章書いたりというのを自分割合的に復活させつつあるんだけど、そうするといろいろ捗るなあって改めて思いますね。
それにしても飯(たこ焼き、おでん、お魚)は旨かったなぁ。大阪はお安いのに旨いところもとても多くて食い倒れ過ぎる。

SecCap(enPiT Security) ProでCTFやってきました

SecCap(enPiT Security) Proというプログラムの一環で、CTFの講義と演習、そして本番CTFを開催してきました。enPiTというのは「高度IT人材を育成する産学協働の実践教育ネットワーク」ということで、名乗りを上げた大学がそれぞれコンテンツを企画・調達して持ち寄って実践的な教育を行うプログラムです。

この中のSecurity分野はIT-Keysというプログラムが前身で、関西圏を中心に良い感じの人材を輩出していました。当初は大学院生が対象だったんですが、最近は学部生や、社会人も対象としていて、社会人向けをProと称しています。大阪大学の宮地先生がトレンドマイクロの新井さんに声をかけたことがきっかけで、九州大学の小出先生、株式会社セキュアサイクルの服部社長、社内でCTFを何年も開催されている日本総研さんとわたしが集ってCTFコンテンツを作り上げました。まぁわたしはほぼ見てるだけでしたが(笑)。

今回は大阪大学中之島センターと九州大学を遠隔で結びながら開催しましたが、スライド表示映像がうまく送受信できなかったりしてなかなか大変でした。スライドのデータファイル自体を共有して人力で(笑)対応したので事なきを得ましたが。近年遠隔会議システムを使って会議するのは当たり前になってきていますが、繋がらないとか見えないとかいうトラブルは割と良く起こります。最終的には人力で何とかできるように各場所でサポートできる体制を作りつつ、複数の通信ルートや通信手段を準備しておかないとハマることを実感しました。

当初企画案ではひたすら過去問を題材に解説していけば良いのでは?という構想でしたが、やはりベーシックなレクチャーは必要だろうということで、CTFに出る暗号の話と、Pwn(ポーンと読みます)という脆弱性攻撃の話、そしてWebアプリケーション攻撃の話などの講義と演習を行った後に3.5時間のCTFを実施するという構成になりました。講義時間の配分や中身のバランスなど、まだ見直すべき点はあると思いますが、このプログラムの参加者のセキュリティを専門にしている方々の割合などを見るとレクチャーを入れたことは良かったように感じます。レベル感はどうしても個々にバラつきが出るので難しいのですが、ある程度経験がある人たちもベースを押さえることは無駄ではないと思います。

CTF本番は比較的解きやすいレベルの問題を用意したからか、参加者の方々が活発に問題を解いていって盛り上がる展開になりました。初体験の方も居ましたが、すごく楽しいとおっしゃっていたので狙いは当たったのではないでしょうか。ゲーム要素を学習に活かすことをゲーミフィケーションと言いますが、CTFはゲームの「要素」ではなくゲームそのものですし、自学習促進剤としてとても良いツールだと思います。もし機会があれば、今後もこのenPiT Proにおいて良い感じにCTFを展開していきたいと考えています。

大阪大学 enPiT-Pro セキュリティ分野(enPiT-Pro Security) 情報セキュリティプロ人材育成短期集中プログラム(ProSec)のご案内