家の用事で急遽ある場所に飛ぶことになり、せっかくなので近場の温泉地を探して宿を取った。他に有名温泉地もあるけどちょっと冒険したくなってしまったので(笑)マイナーなところ。遠隔仕事も抱えているので夜中も風呂に自由に入れるように奮発して風呂付きの部屋にした。
この部屋風呂が大外れだった。
出る湯がぬるいのは源泉の都合もあるから仕方無い。ぬるいときは(高温の湯を供給するパイプが檜の浴槽の下に這わせてあるので、そこにお湯を出す)バルブを回してねとあったので回してみるもお湯は来ない(()内は筆者の情報補完記述)。お湯が来ないのがわかったのはバルブの手前に蛇口が付けてあって供給状況を確認できるようになっていたからだけど、一瞬高温のお湯が来たけど(汲み桶一杯分程度)すぐに切れてしまう。深夜まで様子を見たけど改善されずあきらめてぬるい湯に入って寝た。
翌朝高温湯が出なかったことをフロントに伝えたが「ガスで温めているし止めてもいないので出るはずなんですけどね」という返答。朝食後確認すると高温湯が出てきたので早速入浴した。その後用足しに外出し、昼過ぎに戻ったらまだ出ている様子なので安心して遠隔会議に参加。終わってから確認すると今度は高温湯どころか部屋のどこの湯の蛇口を捻っても一滴も湯が出なくなってしまった。浴槽付近の蛇口、高温湯供給パイプ、別にあるシャワー室のシャワー、洗面台のお湯蛇口、すべて一滴も出ない。フロントにクレーム入れたら確認に来たが、依然として一滴も出ず。のちに電話で「タンクの掃除をしたため、まだ中身が3割程度しかありません。お湯がたまるまで少し時間がかかります」と言うので「いつ頃までかかる?」と聞いたら「夕方くらいまで」とのこと。その時点で15時くらい。バッファを見て19時過ぎに確認するもなお一滴も出ず(笑)。その後は仕事に忙殺され、0時過ぎに確認したが依然として出ない。大浴場は早じまいでもう入れないのでそのまま寝た。
翌朝も同じ。結局チェックアウトまで一滴も出なかった。重要なことなので二度書いておこう。お湯が、一滴も、出なかった(笑)。しかも、すべての、蛇口から。
ここまでの仕打ちに遭うことはそうそう無い。っていうか人生初ってくらい。正直なところげんなり、いや、美味しいって思った(笑)。10年このネタで飲めると思えば(笑)。
チェックアウトのときは前日までとは違うフロントマンなので、お湯が出ない状態であることが引き継がれているかどうか様子を見ていたけど引き継がれていないようだったので「昨日の昼から一滴も出てないんだけど、栓開けた方が良いよ」と言い捨てて去った。感覚としてはまさに、「栓を開けて」。そんな感じだった。それほど容赦なく一滴も出なかった。
これが顛末である。ではなぜ「DoS攻撃」なのかというと、お湯が出ない、お湯出ない、出ない出ない、と脳内でフレーズ繰り返すうちに、出ないアルお湯サービス(Denial of Service)というのを思いついたから(笑)。出ないアルの「アル」は良くあるマンガの中国系登場人物が喋る日本語的な表現だけど、ディナイアル・オブ・サービス=サービス不能or使用不能=出ないアルお湯サービス、ってかなりイカしてると自分では思っている(笑)。そしてその理不尽さから「攻撃」というのも良い感じ(笑)。なんだろうこの何でもネタにする感はw。
なお最後に、かなりのヘビーユーザーである宿泊予約サイトで、自身初めてクレーム文を書いた(笑)。滞在期間の半分以上お湯が一滴も出なかったのだから風呂付き部屋をとった意味ないよね、という趣旨だけど、そのサイトの口コミにはホテルスタッフのレスが一度も付いていないので伝わるかどうかは疑問。そこで、例によって自分の関わる仕事に、クレームを受けることもまーまーある立場として考えてしまうわけですが、やはりマメに書き込みとかには対応するというのが良い、というか必須とすら言えそう。過剰な、言いがかりみたいなクレームに囚われると病むばかりになるけど、そうじゃないものを見つけて、課題として把握して改善していく。クレームを受け付ける口を作っておく。このあたり大事だね。常識だろうけど。
さらに言えばインシデントハンドリング、インシデントレスポンスにおいて初動対応が重要だよな、と再認識した。何でもそこに持っていくな、と言われそうだけどまさにホテルの初動対応はいくつもミスってるもんね。最初のクレーム「ぬるい」への対応は源泉の湯温のことでもあるし良くあるクレームということかも知れないけど、お湯が出ないと言われ、フロントマンが部屋まで来て事象を確認してる。ここまではホテルマンなら当然すべきことでしょうね。実際すぐ来たことは良いと感じた。問題はその後。
お湯系の管理現場に確認はもちろんしたんだろうけど「掃除をしちゃったからいったんからっぽにしてしまい未だ中身は3割。お湯がたまるまでしばらく時間かかる」「たぶん夕方くらいまで」この情報の確認と提示には課題が見える。
まずなぜ掃除をこのタイミングで行ったのか。掃除した結果こうなることを把握できていなかったのか。把握できていなかったから掃除したのだとするとヤバいけど、把握してたとしてもヤバい(笑)。平日だし、変わり者?の客が部屋の良い風呂目当てに泊まりに来たのが珍しい、というのはあるかもしれない。じゃあいつ掃除すれば良いのか、という現場の感覚もあるかもしれない。しかし結果としてお湯が全く出ないというのは、金返せと言われても仕方の無いレベルだからなぁ。
あと引き継ぎ。これは危機認識が希薄だったってことだろう。クレームを受けて現状確認し、夕方までかかると伝え、伝えたのち何も言ってこないから大丈夫だったんだろうなーという思考だったのだろう。大丈夫だったんだろうなーである意味思考停止して客への確認を怠った。客が何らかの事情でクレームを言う暇が無い、あるいは言わないでいつか来るであろう夕方(笑)を待ってる、とは思わなかった。そこがポイントかもしれない。電話一本入れるかどうかで印象は変わっただろうし、その後のホテルとしての対応は大きく変わったはず。結果的にトラブルが解消できなかったとしても、手当はできただろう。
一方美味しいこれ、と思っていた(笑)あっし自身は、どういう対応をとるか待っていたという、美味しさを深めに行っていたフシもあるが(笑)。
それにしても教訓が多い事例だった。まさに美味しい思いをしました。湯は一滴も出なかったけどね。