極楽せきゅあブログ

ときどきセキュリティ

エイプリルフール記事の敗因

エフセキュアブログ : 巧妙なエイプリルフール (ネタばれ)
何が野暮ってジョークの解説ほど野暮なことは無いと思うけど、それをせざるをえなかったところに哀愁を感じますね(笑)。しかも、これは明らかに(笑)英文で読んだ方がピンと来るジョークだから、そのニュアンスを翻訳するのはとてつもなく困難だと思います。
で、元の英語の文章に出てくる「Obvious」という単語がキーだよという解説になっていますが、

まず、5段落目に "Obvious" という単語、しかもそれがハッカー組織だと書いており、最終段落には再び、"Obvious" という単語が登場しています。 "obviously more secure." つまり、邦訳だと「Obvious(明らか)に、よりセキュアだ。」ということになります。

むしろ「We are all Obvious! Don't Expect Us」という馬鹿っぽいメッセージの方が(笑)ジョーク的にはポイントなんじゃないかなって思いますね。このフレーズのObviousは大文字始まりだから組織名として提出されているけど、でもパッと見で読むと「私たちは皆、明白です! 私たちを予想しないでください。」(エキサイト翻訳による(笑))=あまりにもわかりやすすぎるから予想すら必要がない、ってなニュアンスにも取れるから、「確かに、passwordなんてパスワード、ハクろうとする人なら誰もが一番最初に試すわなあ(苦笑)。あれ、待てよでもこのObviousって組織名なのか?・・・このメッセージなんか馬鹿くさすぎるな、なんかおかしいぞ(笑)」ってな具合にここで少しピンとくるポイントが積み上がって、最後のオチの「obviously more secure.」につながる、ジョーク的にはそういう組み立てになってると思います。まあ、ジョークは割とひとそれぞれにツボが違うので、このあたりの感覚も一般化は難しいところなのでしょうけどね。
とりこぼしている風のジョークポイントとしては他に、

According to current statistics, 62% of affected users would not notice such a change as their password was already "password".

のalreadyについてるボールドあたりもありますが、日本語にできるかっていえばこれもとてつもなく難しそうです。あえて言えば、訳文の「現在の統計によれば、影響を受けたユーザの62パーセントは、パスワードが元々「password」であったことから、気が付いていない。」の中の『パスワードが元々「password」であったことから、』をボールドにして、もっとわかりやすくするなら最後に(苦笑)とかつけちゃうかな。それくらいやってもジョークポイントの伝わり方としては微妙でしょうね。
やはりこういうジョークは翻訳が難しいですね。
しかし、それよりも今回の敗因は、この作者は毎年毎年ブログエントリにジョークを出す人なんだ、という、書き手が無意識に?前提としている共通認識が、書き手が思っているよりも一般的ではなかった、ということだと思いますけどね(笑)。もっとあからさまな(笑)ジョークにして欲しかった、というのがこのエントリのメタなオチってところでしょうか。