極楽せきゅあブログ

ときどきセキュリティ

陸の孤島に閉じ込められて

記録的な被害をもたらした台風15号の影響をモロに受けてしまった顛末を書いておこう。思考と試行、やれたことやれなかったことの備忘として。
バルセロナからヘルシンキ経由で日本に戻る予定にしていたけど、15号がちょうど関東地方を直撃する時間帯に着陸じゃね?と気を揉んでいた。ただ、ヘルシンキから成田まで飛ぶ機材は台風直撃よりもかなり前に出発するので問題なく到着できるだろうと思っていたので、現地延泊の準備は特にはしていなかった。するにしてもヘルシンキよりはバルセロナで延泊というのが望ましいけど、バルセロナヘルシンキは台風と全く関係無いわけだし、まぁ難しかろうと。延泊ヘルシンキもおもしろそうだけど寒そうだし(実際雨模様で日中気温15度くらいだった)、飛んでくれるとありがたかった。
とはいえ飛ぶ時間は2時間ズレ、成田空港着も当初予定が9日(月)の9時05分だったけど結局着陸は11時25分。出てきたのは45分くらいだったけど、そのときすでにバス待ちの長蛇の列が出来上がっていた。現状把握すると鉄道はすべてダメ、バスも運休。その時点でわずかに空きが出ていた近隣のホテルを押さえるにしても、そこまで行く路線バスも来ない。タクシーはバス同様長蛇の列。しかも10分くらい観察してても1台も来ない。運転免許証を持っていたのでレンタカーという手を考えたけど、すでに予約で一杯らしい。もっとも、タクシーが来ない状況なのでレンタカー借りても動けるかどうか微妙な気がした。道路の状況をアプリで確認すると東関東自動車道が通行止めになっとる(笑)。そりゃバスも来ないはずだわ。この時点でもう、まっとうな陸路移動はタクシー待ち以外無かった。
んで飛行機経由をいろいろ調べてみる。成田なので国内線の行き先は限定的。台風影響無い地域で行けそうなのは名古屋(中部)、伊丹、福岡あたり。ぶっちゃけタクシーに乗って50kmとか行くよりも飛行機経由のが安かったりするだろうし。福岡の17時台のが空きあったけどそこでふと考えたのは、福岡行っても着替えの予備あるし、現地で調達もできちゃう。てことは泊まってゆったりするから安いかというと高くなるわけで(笑)。しかも時間が1日溶ける。それでもまぁ良いかって思ったりもしたけど、逆にどこまで行くのか楽しくなってきたこともあってもうしばらくウロウロしてみようと思った。
なお、この時点までいろいろ調査検討をしながらも空港のターミナル内をウロウロしていて、飯屋はどこも長蛇の列でコンビニのブツも払底気味であることは確認済みだった。
鉄道の復旧がどのくらい行くのか、成田よりもっと東京い近い側の鉄道は8時~10時くらいまでに順次回復していたけど、総武線はけっこう手こずってた感。あと東千葉駅の屋根が吹っ飛んだとか(笑)、そんな話も聞こえてきたので、成田線はもうちょいかかるかなと。実際、もらった情報を見たりすると倒木が驚くほどたくさんだし、千葉県民の感覚では成田線て倒木とか架線がヤバいとかってリスクがけっこう高い田舎の森の中とか抜けていく路線だし、メンテナンスに人を派遣するにしてもいろいろ難易度高い路線だからなーとか思っていたら、午後になってしばらくすると本日中全面運休という決定に。この時点でもうタクシー以外の選択肢は無くなった。
夕方になってスカイアクセス線のみ開通したんだけど、入場規制で入れやしない。何度か様子見しにいったけど、解禁される感じは全然無かった。そのことからももうクルマしかない、ってなった。
で、そんな話をフェイスブックとかでちょいちょいしてたら林さんが「娘を送っていくことになったんだけど、遅くなるけどその帰り乗せていってあげますよ」とスーパー有難い申し出が。その時点で林さんは空港に17時くらいに着けば良いかなぁという感覚だったけど、結局のところ到着したのは19時半とかになってしまって、娘さん軍団はハワイ旅行をあきらめ振り替えもあきらめてそのままとんぼ返りになってしまいました。それに同乗させていただけたのも20時半くらいに。ランデブーに時間かかったのはちょっと待ち合わせ場所の擦り合わせがうまくいかなかったからなんだけど、それにしても周辺の道はかなり渋滞していて、動きが鈍かった。

林さんご一行の視点で、もうちょっと到着を早くできたかもしれない点は、湾岸経由で来たってことかもしれない。圏央道はかなりの遠回りではあるけど、距離的には成田空港にかなり近いところまで通行止めになっていなかったし、常磐道あたりからそちらに流れて南下する、というのがもしかしたら一番早かったんじゃないか。たらればではあるけども。
で、乗せてもらって帰り始めたんだけど、これがまた高難易度の道中になった。千葉県は南部中心に大規模停電になっていて、成田空港周辺はその影響が出ていなかったんだけど、佐倉のあたりに行くと様相が変わってきて、道路の路側帯あたりまで落ちた木の枝だらけで道幅が狭くなってたり、倒木があったり、果ては停電で信号機や街灯が消えていた。コンビニ寄りたいって思っててもコンビニに到達しても停電で閉まってる。そんな中恐る恐る進んで行くわけだけど、対向車?のトラックが止まって動かない状態で「なんだろなんなのあれー」的に近寄って行くと、高い運転席のちょい上の方に倒木が当たりそうになっていて、トラック的には方々通行になっていた。他にも、セダンに当たるほど倒れてるところとかもあって、映画かよ!って思ったくらいのこれでもか障害物だった。で、佐倉から宮野木を目指していた(最初は宮野木も含む東関東自動車道ほぼ全域が通行止めだったけど、そのときそこまでは回復していた)んだけど道路情報を確認すると東関東自動車道の通行止めが全面的に解除された。架線のチェックまで必要な鉄道に比べて道路の方が復旧は早いと思っていたけど、予想通りだった。急遽南下して高速を目指して無事にIN。灯りは消えていたけど車量はけっこう多めで明るかったので不安は無かった。そこまで通って来た暗闇の道に比べたら天国みたいなもんだった。
その後動いている鉄道の駅で降ろしてもらい帰宅。23時半。着陸から12時間かかったことになった。長旅だった(笑)。
ちなみに、ここまでいろいろ考えた奇抜なものも含めたアイディア(レンタカー、国内線国際線利用とか)は、うろつき回ってるときに同じようなことを考えて電話や会話で話している人も居た。自慢じゃないがあっしの方が着想したのは早かったと思う。でも結局実行には移さなかったので思いついてないも同然だった。
また、林さんから申し出をいただいたときに、実は「これはもうタクシーしか可能性ない」と思って腹をくくってタクシー待ちに並んでたんだけど、5時間強並んで進んだ距離はおそらく100mも無かったのではないか。それほどタクシーの供給量は少なかった。
少なかったんだが、実はこの話には続きがあって、タクシーが一番供給されていたのは実はタクシー乗り場ではなく(笑)、出発ロビーフロアのタクシーを降りることができる場だったのだ。それに気づいたのは19時くらいで、林さんのご厚意がなかったらそちらに賭けていたかも。もちろん乗り場があるわけじゃないから直接交渉。ちなみに上手いことやる人は予約車とそこでランデブーしていた。しかしこれもやる人が増えると明示的に禁止されそうだし、もしかしてこれはバッドノウハウなのかな。

もうちょっと大きめの教訓?について追記しておく。
来年のオリンピックパラリンピックのときに台風来たらどうするんだ?という話だけど、↑にも書いた通りで千葉県民感覚で言えば成田線は脆弱で、周囲に木が多すぎると思う。東関東自動車道も同様。千葉北から先は木が多く、酒々井あたりからは森の中を縫って行く感じになるしね。これも↑に書いたけど、道路の方が架線を心配しなくて良い分復旧が早い。他に考慮する要素がありそうではあるけど、専門ではないからそれは知らないこととして考慮せずに検討するなら、こうした災害のときは道路による運搬の復旧を最優先にしたら良いんじゃないか。圏央道は一番早く15時くらい?には復旧したしね。圏央道経由と東関東自動車道の2ルートがあるのも強い。こちらのパワーを振り向ける前提で復旧計画を作って居たら良いのではないか。とはいえまぁ、その場合その場合の被害状況を見て、ってことになるんだろうけどね。