現在発売中のハッカージャパンに個人情報保護法ってこんなもんだよという漫画を載せてるんですが、紙面の都合で最初に書いたシナリオがかなり変貌していたりします。
せっかくなのでその最初のシナリオとか載せちゃおうかなーと。
っていうかあちきのインタビューも載ってるので読んでねーん。
第一話: ##社長の自宅: ある朝、着流しで陽光の中まったり新聞を拡げる仁賀原(にがわら)社長。 新聞を読んで愕然となり、拡げた新聞に頭をツッコミながら「なんじゃこりゃあ!」 「個人情報保護法、完全施行後は違反業者厳罰へ」というタイトル。 ##社長室 いきなり社長から直々に呼び出されて困惑する主人公。 広い社長室の中で日の光がさんさんと射しこむどでかい窓に向かっている社長。 その背中を見ている主人公。 社長「今日からおまえが個人情報保護法担当だ」 主人公「ええっ?(口答えは怖くてとてもできないのに、思わず声に出てしまって焦る感じ)」 社長「おまえ以外できそうなヤツが見当たらん!どいつもこいつも法律って言うと腰が引けやがる」 かなり怒っている。ぷんすか。 主人公(ぼくだって腰が引けてるんだけどなあ…) 社長「法律の命(タマ)取るつもりでやれ!頼んだぞ!」 主人公「はい…」(た、タマって…) ##自分のデスク 主人公「あーあ。えらいことになっちゃったなあ」 ぼやきながら検索などで「個人情報保護法」について調べる主人公。 画面には「業者の管理責任はかなりキツくなる」 「違反したらどのような酷い目に遭わされるか想像もできない(笑)」 「現場は地獄」 「もういやだああああっここから出してくれええええっ」 などの真摯な叫び、情報が。 それを見て「なんじゃこりゃあ!!」と青くなる主人公。 主人公「こ、こんなにたいへんなのか?どうすりゃいいんだ??」 良くある昔漫画風に頭をかきむしる主人公。 解説1(管理責任とは) ##社内 焦って社内を調べ回っている主人公。 コワそうな先輩たちに怒鳴られながら一生懸命平身低頭聞き取りしている。 調べた結果をホワイトボードに書き、それをあらためてながめてみて昔漫画風にがーんとなる主人公。 主人公「な、何なんだこのズサンさは!?」 ホワイトボードに書かれているのは、 ・顧客の情報はたくさんある(何件かわからない) ・どうやらいろんなところに分散して置かれているらしい ・紙に印刷したりもするらしい ・管理責任者は誰かよくわからない ・お客さんからの苦情を受ける部署はあるが、個人情報云々の話は全然よくわからない ・そもそも個人情報を集めるときにちゃんと同意を取っていない 主人公「酷い、酷すぎる…」(これを報告しなきゃならんのか) そこにクールな女性社員が黙って紙の束を持ち込んでくる。 CDROMの束も。フォーマットはバラバラ、形態もバラバラ、それらすべてが個人情報だ。 主人公「こんなにあるのー?」(ヒエーーー)ΣΣ(゜д゜lll)ガガーン となる。 ##社長室 激怒する社長。「ぬわぁんだとぉーーー?!」 縮こまる主人公。昔漫画風に尺が小さくなっている。大きくなっている社長。 社長「そりゃ法律違反ってことじゃねえか! おめえはそんなこと黙って聞いていたのかっ!?」と八つ当たり。 ずどーんと机を叩く。書類などが浮き上がる。 社長「いいか!徹底的に社内をちゃんとするんだ! おまえが命令することは会社の命令、従わないヤツがいたら指取る!」ぐわあ、と咆える。 そんな大騒ぎなど無かったかのように、さっくり冷静にお茶を運んでくるクールな女性社員。 冷たいお茶をぐいっと飲み干して少しトーンを落として、 社長「こうなりゃ若頭だ何だは関係ねえ。がんがん行け。何か困ったときはオレを呼べ」 主人公「はあ」自信無さそうにため息。 ##クレーム対応部局 颯爽と和服の藤純子登場。 超美女登場にざわめきまくる部局内を制するように、金子信雄が応対に出る。 女性社員のみクール。 金子「お客様、どういった御用でしょうか?」 藤純子「わたくし昔からお宅様のおもちゃのファンで、 わたしの子供に使わせるだけでなく、ことあるごとに宣伝してます」 金子「恐れ入ります」 藤純子「でも、先日お問い合わせをさせていただいた折、ちょっと気になることが」 そこで藤純子は会話記録の印刷紙と、ICレコーダーを取り出す。 藤純子「詳しくはここに記録がありますが、もしかしたらお宅様はお客さんの情報を きちんと整理できていらっしゃらないのではないですか?」 金子「いやいや、そんなことはありませんよ。奥様」懐柔に入ろうとしている。 藤純子は柔和な当たりの中にもちょっとキッとなりながら、 藤純子「お宅様の応対では法律の定めに応じた私どもの要求に答えられないのではないですか?」 金子信雄はその迫力にビビリ入っている。 藤純子「わたくしお宅様のおもちゃが大好きでございます。 しかし、これでは今後お薦めしたりすることだけでなく、 買うことも控えさせていただくことになってしまいます。 お願いですからそのようなことをさせないでいただきたいのですが」 柔らかく懇願するような感じ。しかし、主張は一歩も引かない覚悟。 解説2(利用者の要求事項とは) ##別室 金子「よぉ、あんなこええ女初めてだよお。何とかしてくれよぉ」と主人公に泣きつく。 主人公「お客さんの同意を取らずに個人情報を集めてることが問題だ、というクレームなんですか?」 (何とかしろ、と言われてもなあ…)ため息つきながら。 主人公「個人情報もらうたびにいちいち同意を取るように 仕組みを変えるしかないんじゃないですかねえ…」 金子「そそそんなこと、おれの口から開発にゃあ頼めねえよぉ。 あいつら(と寺島の顔を思い浮かべる)こええんだよぉ」 (ぼくだってコワイよお…)と主人公。 金子に泣きつかれて自席に戻ってきた主人公。ふと机の上を見ると書類が置いてある。 「システムをすべて対応させる必要はない。オプトアウトについて」と書いてある解説記事のコピー。 いちいちすべてのことに情報の持ち主の同意を取ったりしなくても良い、という話。 主人公「そうか、これなら現場に重たいことを言わなくて済むぞ!」 喜ぶ主人公。全く関係関心ない風味でお茶を飲んでいる女性社員。