極楽せきゅあブログ

ときどきセキュリティ

アクセス探偵IHARA台本Part1

台本も放出しちゃうぞー(笑)。

(1)健二のオフィス。
出勤直後の健二が、入れたてのコーヒーもそこそこにメールチェックしている。
画面に映るメール一覧を見ながら、健二。
「あ、西村からメールだ。久しぶりだなあ、あいつ」
と言いながらマウスクリックしてメールを開く。

「・・・ハア?」という顔になる健二。
「け、結婚だって?おれが?同僚の竹田さんと???」

文面『・・・竹田さん、同期でも評判の美女だと聞きました。もう羨ましいです・・・』
を見ながら、「こいつ、こんどは何の冗談だ?」と健二。

「あれ、岩本からもメールだ。あ、川口からも、宮沢からも来てる。田村さんからもだ。朝からどうしたんだろ?」
次々メールをクリックして読む健二。

『結婚だって!?もうびっくりです』『いつの間にあんなカワイ子ちゃんと?』『遊び人も年貢の納め時だな』『こんど竹田さん紹介してください』
おめでとうメールの洪水に???でいっぱいになる健二。

『・・・吉沢さんとは別れたのかよ?』
という文面を読んで、一気に顔面蒼白になる健二に、これ以上無いタイミングで携帯電話にメールが入る。

携帯のディスプレイには一言
『2004年3月1日09時08分:吉沢今日香
すぐ来い』
とだけ書かれている。健二は慌ててオフィスを飛び出していく。

タイトル「アクセス探偵イハラ」

(2)会社の喫茶室。

ズドン、と机に印刷されたメールを叩きつける今日香の手。『健二君、結婚するの?』『今日香、だいじょうぶ?』とかいう字が見える。

「説明して」噴火直前の雰囲気。
「い、いや説明も何も、なんでこんなデマが出てくるのかさっぱりわけがわからないので・・・」

「デマ?」
「て、て、ていうか、確かに竹田さんとは食事に行ったりしたけど、でもただそれだけで・・・」

がーっと食ってかかる今日香。
「なにーっ!デートしたのーっ?!」
「あ、いや違うそれ!そうじゃなくてっ!」
自ら墓穴を掘って小さくなる健二、大汗をかいて訂正する。

「今日香以外の女性と結婚なんて考えられませんっ!誓いますっ!」
「ホントかなあ・・・?」とまだ疑惑の目を向けるが、そのセリフで早くも軟化する今日香。

「ここに来るまでにとにかく西村を捕まえてどっからこの情報出てきたのか聞いてみたんだ。そしたら」
「そしたら?」

「俺マーケティングの仕事してるじゃん?業界の知り合いとメンバー制掲示板運営しているんだけど、そこに俺の名前で書かれていたみたいなんだよね」
ジロリと健二を睨む今日香。
「やっぱり健二が書いたんじゃないの?」再び大噴火直前の雰囲気。

「いやいやいやいや。それだから違うって」慌てて大汗で否定しまくる健二。
「俺そんなの書いてないっすよお!もうぜんっぜんそんな覚え無いってば!」ちょっと哀願調になる。

いきなりノートPCを取り出す今日香。
「どこなのその掲示板はっ!言いなさいっ!確かめてみるからっ!」ちょっと噴火気味。
「は、はい・・・」
そんなふたりを、見ないようにしていながらも大注目している喫茶店の店員、周囲のひとたち。

掲示板のコメント。
『2月28日(土)18:48 桜木健二
みなさんにちょっと報告があります。
実は今度、結婚しちゃうことになりました!
相手は会社の同僚で、竹田美智子さんって言います。えらい人の秘書とかやってます。
自分の口から言うのも何ですが(言ってますがヽ(´ー`)ノ)けっこうカワイ子ちゃんで、もうでへへ、って感じですね(のろけさせてください(笑))。
みなさんにも是非紹介したいので、こんど飲み会やりましょーっ!』
最後に美智子さんの写真が貼られている。かなり美人。
これを見ながら頭から湯気が立ち始めている今日香。
「い、いや、だからさぁ、俺こんなの書いてませんってば・・・」どんどん蒼白になる健二。

ふと、真顔になった今日香が、
「あれ?おかしいわね。土曜日の夕方って、健二あたしと外でご飯食べてたよね?」
「あ、それだ!」とひらめく健二。
健二「そうだよ。俺がこの時間に掲示板に書き込みなんて出来るわけないじゃん!」

考え込む今日香。
「このサーバーのログとか、見られるの?」
「サーバーのログ・・・?」ちょっとわけがわかってない健二。
頼りないなあ、という感じでため息をついた今日香。
「まさかレストランから書き込んだりしてないでしょうね?」といいながらも、健二のPC知識じゃそんなこと無理かなあ?と健二のことを信じかけている今日香。
「してないしてないっ!俺そんなこと出来ないって」(そりゃそうか、という今日香の心の声)

「健二、アンタIDとか誰かに貸したりしたことあるの?」
何となくおさまりがつかないながらも、健二のことは信じつつある今日香。
「へ?」やっぱりわけがわかってない健二。

「もしかしたらこれって誰かにIDとか勝手に使われたんじゃないの?」
「あ、それだ!」とぼけた風味で口癖を連発する健二に、またため息をつく今日香。

ここぞとばかりに必死で弁明する健二。
「勝手に人のIDでログインしてデマ書いたヤツが居るんだよ!だから俺のせいじゃないって!俺には今日香しか居ないって!」
最後のせりふにまたちょっと機嫌を直すが、甘やかしてはいけないと思い直し、厳しい感じで、
「と・に・か・く!健二はしばらくおとなしくしててっ!もうこんな掲示板とかに書き込みとかしないでよっ!」
「ちょっとわたしの知り合いの人に調査してもらうから、いいわねっ!」
と立ち上がって宣言する今日香。
「はいっ!わかりましたっ!」
こちらも立ち上がって気をつけ状態になる健二。
店員と周りの人もほっと一息。